Latest update: December 2, 2023
伊豆大島:2023年11月19日~22日,参加者 9 名
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10月19日: 11月19日朝,京都を出発して,10時過ぎに新東名高速道路「岡崎SA」で多治見から参加のご夫妻と合流.2台の車に分乗して伊豆熱川温泉に向かう.途中,新東名高速道路から東名高速道路に迂回する.目的は東名高速道路の「富士川SA」からの絶景の富士山を見るためである.幾度か高速道路から富士山を眺めたが,多分「富士川SA」から見る富士山が一番だと私は思っています.前日の雨で空気も澄み,上部に雪を被ったたいへん美しい富士山が望めました.

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 午後4時過ぎに熱川温泉の山の上にある今日の宿泊場所「ヒルトップ熱川」に到着.
 早速,露天風呂に浸かり運転の疲れを取りました.遠くに伊豆大島が夕日に染まりながら,ぼんやりと望めました.そして6時からは伊勢エビの姿造りなどが並ぶ豪華な夕食で小宴が始まりました.
 酒が進みますが,一つ心配な事が頭をよぎります.明日予定通りジェット船が熱海港から無事運航するかが気にかかります.強風波浪注意報が出ていた今日は条件付きで運行されたようです.天気予報では明日の方が波,風共に強そうとの事で欠航になる事も覚悟して,色々な対処方法を考えながら早い目に就寝しました.

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 ★条件付き運行とは:船は予定通り出航するが,天候状況の悪化により途中で引きかえすか,港に接岸出来ない事もある.

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10月20日: 早朝5時30分ヒルトップ熱川を出発し,一路熱海の東海汽船の発着地に向かう.7時過ぎ港に到着した.我々が乗る9時10分のジェットフェリー出発まで大分時間もあり,昨日用意した朝食をとり,その後港の辺りを散策する.種々雑多な色,形の船が停泊する美しい海を眺めながら,少し強い風に吹かれながらの散策は気持ち良かった.街路樹は南国らしい蘇鉄やブーゲンビリアの花が咲き,山手には高い白亜のホテルが,びっしりと建っていた.さすが熱海の観光客の多さを物語っていた.
 車を預け総ての荷物を持ち,定刻にジェットフェリーに乗り込んだ.船は猛スピードで白い波を蹴立てて進み,55分間の乗船で伊豆大島岡田港に到着した.その後車を2台レンタルして各自分乗し島観光に出発した.

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 伊豆大島は島一周が47kmで,海に沿って大島一周コースが整備されている.岡田港を出発した我々が最初に訪れたのは秋の浜,ここから雪を頂いた美しい富士山を眺めることができた.大島と言えば椿の花,此処が椿の花の切り通しと教えられた所は両側に椿のトンネルであった.その途中に不思議な入口があり,人,一人が通れる細い階段へと皆吸い込まれる様に中に入って行った.先に何があるのだろう進めど特に何もなく,途中で引き返す.
 その後,都立大島公園に行く,此処は東京都なのだ.動物園,植物園,椿園も併設されていて自然を生かした広大な公園である.私達は動物園の中の水鳥の所を見た後,椿の資料館に入った.沢山の種類の椿をドライフラワーにして一つ一つガラスケースに収められていた.こんなに沢山の種類がある事に驚いた.残念ながらまだ椿の開花の時期には少し早く,蕾がほとんどであった.私は何故大島に椿が多いのかと思った.
 大島では雑木林を切り,椿だけを残し椿の種子から油をとる為に椿山にするという栽培方式が取られた事,火山噴火による水はけの良さという地理条件に合った事,海からの強い風に対する防風林として役立つことや,椿の木の堅い木質が火持ちの良い炭として,又工芸品にと利用できることや,灰は染の媒染に,搾りかすは燃料や肥料に利用されることなど,椿は島の生活に深く根ざした大切な木である事を学んだ.

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 そして周遊一周コースの「おたいね浦」から筆島を見る.筆島は海に突き出た筆先の様な岩柱であるが,これは太古の火山の火道(マグマの通り道)にあり中心の堅い岩が海に取り残された跡である.海を挟んだ山側の崖は,強い火であぶられた赤く灰色の筋はマグマが大地を割った岩脈の跡だった.その近くから波浮の港を上から見た.濃い青い水をたたえている美しい湾が見えました,古くは池であったものが火山の爆発で海と繋がつたと言うことです.小学校で習った「ハブの港の歌」を思い出しました.

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 その後,本日のハイライトである600m以上続く地層大切断面,巨大なバームクーヘンの様な黄色,土色,茶色,黒の見事な縞模様の地層を見る.約2万年前に繰り返された噴火の100回分の噴出物の堆積物が作りだした地層大切断面でした.それにしてもバームクーヘンとは上手く名付けたものと感心しています.
 お昼は元町で郷土名物のべつこう丼寿司を食べました.旬の魚を青唐辛子醬油ベースに漬け込み丼にした物を味わいました.お腹もいっぱいになり火山博物館へ,大島の火山の歴史や噴火物の溶岩の数々と火山弾など,パネルや実物が展示されていた.又世界の火山も説明されていて大島と世界の火山についての関係など沢山学びました.

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 その後4時頃大島温泉ホテルに入り温泉につかり美味しい料理を戴きました.伊豆大島と言う小さな島にこんなに沢山の見る所があることに驚きでした.明日の計画を考えている内に,一寸と疲れたのか深い眠りに落ちて行きました.
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(パンフレット参照あり)

10月21日: 今日も天気が良く,朝5時の空はもちろん真っ暗だが,満天の星.風も昨日よりは穏やかそう.三原山に皆で登れそうな星空です.
 私たち夫婦は5時に昨日見られなかった波浮港を見学に行きました.万が一時間に余裕がなくなり行けなくなったら悔いが残りそうなので.この話は割愛しますが,真っ暗な曲がりくねった道をブレーキの効きにくい車で走るのはちょっと恐怖でした.
 さて,7時から朝食をいただき,8時少し前に三原山山頂口に向かって出発です.10分余り走れば到着です.標高は555mです.これから登る三原新山(758m),剣が峰(749m)を望み,反対側には富士山が見えます.残念ながら今日の富士山は頭が見えるのですが,プッチンプリンかババロアくらいしか見えず,体は雲の中です.
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 さあ,8:15に登山開始です.最初は舗装された道をゆっくり下っていきます.両側は溶岩の上に生えた樹林帯です.道は表砂漠コースと山頂遊歩道コースに別れます.今回は山頂遊歩道コースを選択しました.木々の間にはゴロゴロと溶岩が転がっています.40年前の噴火では今回泊まった大島温泉ホテルの直ぐ下15mまで迫ったらしいです.この辺りは古くは海まで溶岩が流れ出た安政年間の大噴火,その後の数度の大噴火で溶岩が重なり,その上の樹林帯です.
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 15分ほど歩くとパポイホイ溶岩に到着です.ハワイのパポイホイ溶岩とよく似ているそうです.これは安政年間の溶岩で,我々のようにしわの寄った溶岩やぱっぽんと割れた溶岩など見ものでした.また歩いて行くと1986年の噴火で出た溶岩の最先端部がありました.この溶岩の5メートルの高さの最先端部に登るとその時の溶岩の流れが想像できました.
 さらに進んでいきます.結構な登り,足もとは細かい溶岩礫.火山を登っているなと実感します.火口西展望台に着きました.三原山中央火口が見えて,ここも素晴らしいです.ただ,火口の中心部と言うか底は見えません.それでも火口の雰囲気は十二分に伝わってきます.周囲の至る所に水蒸気が上がっています.今爆発したら,などと考えながらも楽しんでいます.
 少し戻って,お鉢巡りにはいります.溶岩礫の道を上っていきます.至る所にシェルターがあります.ただ,どれも大きな岩が飛んできたら耐えられるのかなあ,と思います.遠くにホテルが見えました.その間を溶岩が流れたわけですが,今は樹林帯となっています.

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 しばらくいくと三原神社です.もちろん神主のいない神社です.ここの鳥居がスタート直後から見えていました.鳥居から富士山がきれいに見えるはずだったのですが,残念.この鳥居の直ぐ近くにアグルチネートと言う巨大な溶岩の塊が流れ着いた岩があります.本当にマグマのしぶきがくっついた岩です.この大きな岩が500mも流れてきたのかと驚きです.
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 お鉢巡りを続けます.ついに三原山山頂中央火口に着きました.火口西展望台では見えなかった火口の底は見えます.ドローンがあればもっと良く見えたのですが.ここはお鉢巡りの最高地点で,剣が峰です.火口の壁には過去の噴火の溶岩や噴石が何重にも層になっています.噴火から時期が経っていないことを示す赤い層も見られます.至る所から水蒸気が噴き出しています.いつまで見ていても飽きない素晴らしい光景です.反対側を見ると裏砂漠です.風が強いのか,養分がないのか,植物が育たない黒い砂漠です.ここは明日のお楽しみ?です.
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 ゆっくりと坂道を下っていきます.結構滑ります.すると割れ目噴火火口がありました.少し高い山と言うか丘の上です.ここは噴火の時に炎のカーテンが1kmに渡って吹き上がったそうです.地元の人たちは,山が二つに割れるのではと心配されたとのことです.
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 さらにゆっくりと下っていきます.裏砂漠の方に進みます.ここからホテルに向かいます.お年を召した2名はショートカットで登山口に向かわれるため,ここでお別れです.裏砂漠に寄り道し,お昼ご飯を食べます.もちろんおにぎりです.とても大きなおにぎりをいただいていると,近くに車が来ます.火山の観測をされている方で,一つの場所で,1時間データをとるとのことです.直射日光に当たらないようにするため,機械に日傘を差し掛けています.なんとも悠長な観測です.一日3カ所1時間ずつの観測とのことです.
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 さて,ホテルへと歩を進めます.ロックガーデンというにょきにょきと様々な形の岩が立ち並ぶ場所を過ぎ,テキサスコースを進みます.途中で温泉ホテルコースに入りました(翌日,テキサスコースの終点に立ったので,テキサスコースもキセルで最初と最後は見たわけになります).結構ゆっくりしていたので,ショートカットを選んだ2名との約束時間が厳しくなり,リーダーと筆者が少しペースを上げます.この樹海の中の道は再生の一本道と呼ばれ,いつかは森になる道と,「こもれびトンネル」との二つの区間に別れています.気持ちのよいこの道をたどります.ショートカット組を車に乗せ,ホテルに戻りました.
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 昼からは,火山博物館をもう一度見学したいという1名を除いた他の面々は波浮港に向かいます.早朝に一度来ている筆者は偉そうに皆さんを案内します.先ず遊郭などの建物が残る古い町並みを歩きます.装飾の施された引き戸や3階建ての建物にかつての面影が残っています.まあほんの数分で古い町並みを抜け,次は踊り子坂です.
 川端康成の伊豆の踊り子にちなんだ,文学の散歩道という急な坂道です.先ず旧港屋旅館を見ます.小説のモデルとなった踊り子などの人形が飾られた資料館となっています.階段の途中に林芙美子はじめ多くの文学者の碑があります.実際に踊り子が通り,港屋旅館で文人が素晴らしい作品をしたためていたそうです.

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 ここからの波浮港は素晴らしい眺めです.登り切るとこの波浮港を開いた秋廣甚六の墓や旧甚の丸邸があります.ここも素晴らしい館だったことがその骨組みからわかります.なまこ壁や石製の倉など往時を偲ばせます.
 今度は踊り子坂を下りて,波浮の港の歌碑に来ました.野口雨情作詞,中山晋平作曲の大ヒット曲です.この碑の後ろに金管?を備え付けの鎚でたたくとそのメロディーが流れるようになっていて,皆で,歌と演奏も楽しめました.火山博物館を選択した方との約束の時間もあるので,波浮港を後にトウシキ海岸に向かいます.伊豆大島最南端の水のきれいな溶岩に囲まれた海水浴場です.この季節ですから海水浴は無理ですが,溶岩が達した海との景色は本当に見事でした.
 海水浴場というか,溶岩に囲まれたプールに辺りから水と出会ったマグマ(今は黒い溶岩ですが)や地層を楽しみました.そこから車で1分のキャンプ場に行き,ポスターとは角度が違うのですが,トウシキ海岸を一望する広大な景色を満喫しました.残念ながらボムサックは見忘れました.

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 もう一度地層大切断面,いわゆるバームクーヘンを楽しみ,予定通り15:30に火山博物館で合流,見学者をピックアップしました.
 途中,元町のスーパーマーケットにより,お土産,今夜のアルコールも調達し,ホテルに向かいました.
 ホテルで入浴,夕ご飯,宴会とお決まりのコースをたどり,とても素晴らしい一日が終わりました.天気に恵まれた素晴らしい登山でした.

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10月22日: いよいよ最終日.早朝5時に露天風呂にはいり最後の温泉を満喫しました.
 7時からの朝食バイキングを食べ8時25分にホテルを出発する.
 ホテルからちらほら咲いているさざんかラインを通りひたすらカーブを下り島一周道路に入り,月と砂漠ライン入口の標識を曲がり駐車場に停める.
 9時今回最後のハイキング.裏砂漠を目指し,月と砂漠ラインと素敵な夢のあるネーミングの道を進む.樹林帯を10分程歩くと徐々に木や草が少なくなって,昭和27年の「もくせい号墜落碑」の辺りからは起伏に富んだ真っ黒な山肌が一面に広がっている.国土地理院の地図に唯一砂漠と記されたのが裏砂漠である.細かい溶岩の粒,火山灰のみの真っ黒な大地.第2展望台さらに5分程登ると今日の一番高い桝形山670m近くの第1展望台.目の前に前日歩いた三原山,噴火口が目の前に,大島の東側から大海原まで大パノラマ.隔たるものがなく三脚も立てられないほどの強風.めったに帽子を取らない夫も取らざるをえない.もと来た道を辿り10時15分駐車場に着いた.

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 一周道路に出て大島公園でトイレ.近くの行者窟へ行こうとしたが道がなく断念.11時元町に向かい大島郷土資料館に立ち寄る.係員の方の分かり易い説明で大島の成立,歴史,民俗のレクチャーを受ける.中でも昭和5年ごろの私人の撮つた映像はビックリの連続だった.
 資料館を出たのが12時前.資料館で教えていただいた近くにある「紀洋丸」で昼食.二種類選ぶ海鮮丼.べっこう,海老,タコ,カンパチ,鉄火を4,3,3,4,4と以外とばらつくものでした.大島最後の食事美味満足でした.

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 12時40分出発.元町からサンセットパームラインを走り北端の野田浜まで行く.海岸は何処も黒い溶岩が流れて出来た奇岩連続だった.同じ道を戻り,途中,垢禿(あかっぱげ)を見る.マグマが噴火して酸化して赤錆色になった小高い丘で伊豆半島,三浦半島,熱海,遠くに房総半島,富士山が見える絶好の展望所でした.

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 元町に戻りレンタカーを返却.待ち時間の間に大島牛乳のアイスクリームを食べたりして,3時30分の出航を待った.
 熱海港に4時20分.4時半帰途に着く.一般道路を1時間ほど走り沼津インターに入りひたすら走り,浜名湖SAで食事.7時30分岡崎SAで多治見組と別れる.第2名神に入り甲南Pで最後のトイレタイム.京都組7人は大津,山科,宇治と降ろしていただいて各々帰途に着いた.
 ドライバーさんたち,夜間の長時間運転にお疲れ様でした.ありがとうございました.